トレーディング、Arts&Logic by 田中 雅

閉じる
  • 自分でトレードひまわりFX
  • 自動でトレードエコトレFX
  • FXを学ぶアカデミーチョイス
  • マーケット
    情報を知る
  • お客様サポート
お困りのことがございましたら
お気軽にお問い合わせください
0120-86-9686
受付時間 AM9時〜PM5時(土日・年末年始を除く)
閉じる
MENU

自分でトレード ひまわりFX

自動でトレード エコトレFX

FXを学ぶ アカデミーチョイス

マーケット情報

お客様サポート

閉じる

ローカルナビゲーション
  • エコトレ FX TOP
  • システムトレードの基礎知識
  • エコトレ FX 詳細
  • ポートフォリオジェネレーター
  • ループ・イフダン®

トレーディング、Arts&Logic by 田中 雅

第I部:最新の相場認識概観

メニュー

第2章:相場のバタフライ効果について

2009/08/27

原因と結果

相場が上がったり下がったりするのは何かの「結果」であるとすると、それには何らかの「原因」があるはずである。そしてその原因と結果の間に「因果関係」が存在するはずである。このような因果関係を研究して、相場取引の役に立てようとは誰もが考えることであり、例えばファンダメンタルズ分析はその典型的なものであろう。

因果関係の発見

よく考えてみるとテクニカル分析も、過去の価格の変動パターンと未来の価格変動の間に因果関係を発見しようとする試みである。このように「相場を考えること、即ち分析し、当てようとする行為」は、基本的には相場における原因と結果を結ぶ関係の解明の試みにほかならない。

人間がこのように因果関係で物事を把握しようとするのは、われわれが受けてきた教育や常識と深い関係がある。因果関係を解くことと、事実を丸暗記することは教育の基本であった。実は、問題を解く際、因果関係の解明以外に問題の解き方を習っていないとも言えるのである。相場のように、原因と結果の因果関係が判然としないような世界にわれわれが直面したときに、問題解決の糸口が掴めない最大の原因がここにある。

なぜ、桶屋が儲かるか?

たとえば「桶屋が儲かる」という現象を調べてみる。桶屋が儲かるその最初の原因を知ることができれば、非常に早い時期に桶屋の株を買い込んでおいて、大儲けができるはずである。いろいろ調べてみたところ、桶屋が儲かる結果になったのは「風が吹く」という原因があったからだと分かった。なぜなら次のような原因と結果の因果関係の連鎖が発見されたからである。

即ち、風が吹けば砂ぼこりが立つ、砂ぼこりが立てば目の悪い人が増える、目の不自由な人には三味線を弾く人が多いから、三味線がよく売れる、三味線が売れるとネコが減る、ネコが減るとネズミが増える、ネズミが増えると桶をかじる、そこで桶の売れ行きが上がったのである。

この話はナンセンスであると取ることもできるが、一方では後述するように、最新の相場の理解の仕方を言い表した例え話と解釈することもできる。このような意外な因果関係の流れで相場はできているということが最近の研究で分かってきたからだ。

線型と非線型

線型システム

原因が分かれば結果も推測できるような世界を、線型システムと呼んでいる。この場合システムというのは「系」、即ち閉じられた特定の世界や現象のことを指している。自然科学はこの線型システムの研究をする学問である。

非線型システム

一方、原因と結果の間に因果関係のルールが見出せない系を非線型システムと呼んでいる。
非線型システムの典型的な例は、天気、生態系、流体(乱流)等で、相場もまた非線型システムであると言われている。

非線型のシステムについて真剣な研究がされるようになったのはごく最近のことで、米国で70年代以降に発達したカオス理論はその代表的なものである。

カオス

カオス理論で言うカオスとは予測不可能な不安定状態のことを指すが、自然現象や社会現象の中に、広範に存在していることが分かってきた。カオス理論の認識では、われわれが線型であると思い込んでいるほとんどの現象が実は非線型であり、一時的な安定状態を保っているために、表面上線型であるように思い込まれているだけだという。

カオスの顕著な特徴は2つある。ひとつは後に詳しく解説するフラクタル構造である。もうひとつの特徴がバタフライ効果である。

カオス理論との遭遇

筆者がカオスという概念に触れたのは、20年程前に英国BBCテレビが制作した『カオス』というドキュメンタリー番組を見たのが、最初である。その内容は、次のようなものだった。

ちなみに当時、筆者は儲からない相場(儲かる相場ではない)の説明モデルと先物システム取引における破産理論の研究に取り組んでおり、オプションの値付け計算式等を調べていた。つまり正しく言い換えると、損ばかりしていたので、損の研究をする以外にすることが無くなってしまったというわけである。

相場計測の計算方式などには良いアイディアができていたが、相場の全体像をうまくコンセプト化することができなかった。BBCテレビで知ったカオスの考え方は筆者が日ごろ感じていたことを実にうまく言い表していたので、目から鱗が落ちる思いだった。フラクタルの概念を転用して相場を理解する自分のスタイルを確立するきっかけをつかむことができた。

天気予報とバタフライ効果

コンピュータの発達で大規模計算が高スピードでできるようになると、膨大なデータの処理を要する自然界のコンピュータモデル化ができるようになった。その中でも特に大掛りに国家的規模と予算で取り組まれているのが天気予報モデルである。

測候所の配置図
(画像:測候所の配置図)

天気予報モデル

天気予報モデルは次のように作られる。全国にくまなく測候観測箱を設置する。例えば10km毎に気温計、気圧計、風速計などを入れたセンサーを配置するとしよう。そのセンサーからすべての情報を中央コンピュータに集計すると天気の仮想世界ができ上がる。BBCテレビが流している英国気象庁の天気予報グラフィックにはこのようなモデルが使われているそうだ。

たとえば今、風向きと風力の予測モデルを作ったとしよう。モニターの上では、風は全国地図の上にオーバーラップされた無数の矢印で記され、各々の矢印はその向きと矢印の大きさで風向きと風力を表すことができる。(画像右:測候所の配置図)

風の予測

風の予測をするには、ひとつひとつの矢印が持っている現在の風向きと風力を「原因」とし、それらの力学的相互作用を計算した「結果」が未来の予測となる。因果関係として流体力学予測計算を適用して予測問題を解く。

さてこのようにしてでき上がったスーパーコンピュータによる風の予測モデルは、やはり当たるも八卦、当たらぬも八卦で、「これほどの金と労力を費やして」作った割には当たらない。なぜ当たらないのだろうか?カオス理論が解明したのは、この当たらない原因である。

風もまたカオス

風とは言い換えると大気の乱れ、即ちカオスである。風の流れというのは、大部分はかなり安定しており、その限りではある程度の予測が可能である。つまり現状維持という予測である。

ところが、本当に知りたい、風の向きが突然変わる瞬間、すなわち乱流が発生するタイミングとその結果は、どうしてもうまく予知することができない。その理由は2つある。

フラクタル

ひとつは風がフラクタルの一種であり、その力学的輪郭を知ることはできないからだ。
観測所Aとそれに隣り合った観測所Bが北向きの風向きを記録しているとしても、A点とB点の間の風向きが本当に北向きであるかどうか、知ることはできない。中間点では、南向きの風が吹いているかもしれないのだ。

次章で詳細するが、「相場の値動きは、厳密には表記できない」という理屈と同じである。たとえば、100円から101円に変動した相場が、本当に上昇していると言えるのかどうか知ることはできないのと同じことである。

これは我々の生活そのものを脅かすアンチテーゼである。なにしろ100円が101円に変化しているのに、本当に上昇しているのかどうか知りえないのであれば、そんな不都合と不合理が支配する世界では、一体何が知りえると言うのだろうか?

バタフライ効果

風力図
(画像:風力図)

風向きが予知できないもうひとつの理由は、バタフライ効果に関係がある。このバタフライ効果とは、カオス現象における因果関係解明の難しさを端的に言い表した「たとえ」である。BBCのドキュメンタリーはバタフライ効果を次のように解説していた。(画像右:風力図)

いま、仮に仮想世界天気モデルに表示された風の矢印のインプット情報を、ひとつだけ勝手に変えてみる。何千という矢印のどれでもよいから、適当に風向きと風力の情報を変えて、もう一度全体の予測計算をやり直す。こうしてどのような変化が天気モデルの中に発生するか調べてみるのである。

東京の風向き

日本で言えば、東京・銀座4丁目の測候データが変化した場合、東京都全体の風向きがどう変わるかを調べるのである。ほとんどの場合、全体の天気には何の変化もなく、ごく地域的な微妙な変化が予測できるだけであろう。ところが、こうした実験を繰り返しているうちにおもいがけない不思議な現象が発見される。

たまたま、ある任意の観測箱の風情報をちょっと変えて、その後の風の予測を再計算してみたところ、意外なことに英国全体の風向きが一変してしまったのである。これは東京都千代田区永田町の風向きがちょっと変わっただけで、北海道で暴風雨が吹き荒れることに等しい。まさしく『風が吹けば桶屋が儲かる』という因果関係の連鎖が実現したからである。

「予知不可能な初期状況の微妙な変化に、最終結果は強く依存する」カオスの因果関係とは、このようなものを指して言う。

(画像:バタフライ効果/出典:WikimediaCommons, File:Anastasiya Markovich Effect of Butterfly.jpg、作者の共有ライセンスおよびGNUフリー・ドキュメンテーションライセンスによる引用)

カオスは予測不能

誰かがこのことを次のように言い換えてみた。「ブラジルの密林で蝶々が羽ばたいたのが原因で、モスクワが嵐になった」。この表現はカオス系の予測の難しさの特徴を実にうまく表現していたのですっかり有名になり、『バタフライ効果(蝶々の効果)』と呼ばれ、カオス理論の代名詞のように使われることになった。

このような仕組みでできている現象は、明らかに予測することがほとんど不可能である。モスクワの天気を予測するために、ブラジルにおける蝶々の動きまで情報収集し、コンピュータに入力することは不可能だからだ。

桶屋の株価の予測に風向きまで研究しなければならないとすれば、ドル・円の予測には『雷の研究』が欠かせぬものとなろう。

相場の雪崩(なだれ)効果

バタフライ効果は、相場の中でも常時観察される。極端な例だが、次のような状況を考えてみよう。

カオスの発生する瞬間

仮に、ドル・円相場が100円で売買が揉み合いになっているとする。ここに重要な買い支持レベルがあり、買い手はこのレベルで買い上げようとし、売り手はこのレベルを破って暴落に導こうとしている。100円のすぐ下には、買い手が、投げて退散してしまう損切りの売り注文が集積する。一方100円のすぐ上には、ここから反発すると、売り手が踏み上げる損切りの買い注文が集積する。

100円から暴騰するか、このレベルが破れて暴落するかは、予知不可能な相場の注文の流れに依存している。ある瞬間、買い手の注文と売り手の注文がすべて出切ってしまって、空白状態となる。この時が、大規模カオスの発生する瞬間なのであるが、誰にもこの空白状態を予知することはできない。

カオスの連鎖

そのとき筆者が、それとは知らず、ただ1本の売り注文を入れたとする。この1本の売り注文は、100円では受け手がないので、呼値は5銭下がり99円95銭に落ちる。そこで初めて買い手が出て、売買は成立する。その瞬間、99円95銭に入っていた損切りの何百本もの売り注文が有効となり、市場は一挙に売り一色となって、暴落するのである。この動きを見て、大量の成り行きの売り注文が殺到する。売りが売りを呼ぶ、雪崩現象が起きるのである。

この場合、もし筆者の注文が逆に買い注文1本であったらどうなっただろうか?
今度は暴騰相場となったに違いない。つまり筆者はソロスでもないのに、相場の暴落や暴騰を演出した張本人、即ちバタフライになれるのである。ただ、その本人も、自分がバタフライの役割を果たすだろうとは予知できないし、気付くこともない。

(追記:2008年1月2日原油高でシカゴ先物が100ドルを付けて話題となり世界中で報道された。新聞で読んだのだがこの100ドルを付けた注文は無名のCTAで、それもたった1枚の注文が一瞬成立したのだそうだ。歴史的瞬間を演出した無名のバタフライとなった)

第I部:最新の相場認識概観 第2章:相場のバタフライ効果について 田中 雅 2009/08/27