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トレーディング、Arts&Logic by 田中 雅

第VI部:逆張り

第1章:天底を当てる

2010/3/10

転換点のパターン認識

山の彼方(あなた)の空遠く「幸い」住むと人のいふ(=言う)。
ああ、我ひとと尋めゆきて(とめゆきて=尋ね歩いて)、
涙さしぐみ、かへりきぬ(=帰り来ぬ)。
山のあなたになほ遠く(なお遠く)
「幸い」住むとひとのいふ。

カール・ブッセ(ドイツのロマン派詩人)のUeber den Bergen(山の彼方)、上田敏訳詩集「海潮音」より。

「三尊天井」についてここ数日考えていると、ふとこの詩の事を50年ぶりに思い出した。
中学時代に訳も分からないまま強制的に学ばされたこの詩、何故か頭の中に妬きついて残っていた。改めて、読み直してみると、良い詩だなと思う。

画像:小野浄土寺三尊.jpg
(画像:小野浄土寺三尊.jpg、photo by Autumn Snake/出典:Wikipedia commons、クリエイティブ・コモンズ表示-継承2.5一般ライセンスによる引用)

強気相場と言う山を上り詰めて、我が国の相場師たちが見た天空に聳え立つ頂の姿、それを見極めたものだけが最大の幸を持ち帰ることが出来た。仏を見る事ができないものは泣きながら帰ってきた。誰かがそれを三体の仏の姿に例えて「三尊天井」と呼んだ。一体誰がこれほどの悲しいまでに上手い表現を考え出したのだろうか?

三尊天井のパターン認識

米国では三尊天井の事をヘッド・アンド・ショルダーと呼ぶ。ご承知のようにEdwardsとMageeが1948年に著した「Technical Analysis of Stock Trends」(邦訳:マーケットのテクニカル百科、パンローリング社)の中で転換点の基本パターンとして始めて紹介され、この本と同じく古典テクニカル分析の中核をなした。

転換点の古典的パターンとして最も知られているが、何故か実際の市場にそれと分かるような安易な姿で出現する事は殆ど無くなった。これはトレンドも同じ事で、70年代から80年代のチャートには今よりも頻発していたように記憶している。試しに80年代まで遡ってほぼ全ての主要通貨と全世界の主要株式指数をチェックしてみたが、実際にはなかなか発見する事が出来なかった。三尊天井(底)とは(1)三尊が認識でき(2)ネックラインが認識でき(3)ネックのブレーク後にネックから天井までの幅の2倍以上を走る、という条件で探した。とりわけ直近1年の日足では、唯一ユーロポンドにそれらしきものを見出すだけだった。下図がそれである。

画像:直近ユーロポンド日足
(画像:直近ユーロポンド日足)

出現頻度

これは当然の事で、天井や底のようにこれ以上は考えられない圧倒的に有利なエントリーポイントが頻繁に認識出来るなら、殆ど全てのテクニカル取引者が既に大金持ちになっているはずである。私の試算では、10回の取引可能な転換点のうち1回が古典的理想的三尊天井(もしくは底)であれば、他の9回がまぐれで負けたり勝ったりする意味の無い取引だったとしても、私は非常に高い確率で勝者として引退する事ができる。僅か10%の優位性(平たく言うと55%の勝率)でも、ギャンブルの理論でシミュレーションしてみると分かるが、かなり強力な成功への筋道なのだ。従って三尊天井が20回に1しか出現しないとしても、何の不合理でもなく、期待のし過ぎだと言う事になる。

テクニカル分析の巨匠W.ワイルダーは、次の様に警告している。

「天井と底はテクニカル・トレーダーのネメシスである(ネメシス=ギリシャ神話、因果応酬と復讐の女神、天罰を意味する)。天井と底を当てようとして破滅したトレーダーの数は、その他の理由で破滅したトレーダーを全て合わせた数よりも多い。」(THE ADAM THEORY 19章英文初版本59ページより)

リバース・ポイント・ウエーブシステム

そのワイルダーだが、自身は転換点の探求を回避していたわけではなく、1980年代に「Reverse Point Wave」という三尊天井のバリエーションを定型化させ、システムとして500ドルのセミナーで教えていた。在オランダの私はワイルダーからシリアル・ナンバー付きのマニュアルをやはり500ドル程度で買って勉強した。RPWというのは拡張型の三尊天井で、中央ではなく三番目の仏が二番目より高い。故に拡張型と呼ばれる。これは出現頻度が古典的三尊天井よりも高く、一度マスターすると取引もし易かった。常識的な順張りセンスでこのパターンを取引すると多くの場合、往復ビンタを受けるように振り回され、連続的にストップを打たれて壊滅する。逆張りするにも慣れないとかなりの恐怖感に襲われる。極限状況の逆張りパターンだった。

画像:拡張型の三尊天井、ドルマルク、筆者作成のリーマンブラザーズ証券チューリッヒ宛のレポート
(画像:拡張型の三尊天井、ドルマルク、筆者作成のリーマンブラザーズ証券チューリッヒ宛のレポート)

感心したのはワイルダーの完璧とも言えるプレゼンテーションの上手さと伝達能力だった。私の好みでは現代最良の教師であったと思う。そして後に私はワイルダーから再度衝撃的な教科書を買い、マーケットの見方が一変してしまう事になる。

規則的な反復:季節性の発見

よく言われることだが、マーケットで勝ち残るには戦いの優位性が必要である。パターン認識はその一つだが、そもそも優位性と言う見地から見るパターンとは何だろうか。あるパターンが「繰り返される」という事を「知っている」事に尽きる。繰り返されるのであれば私は市況がこれから先どうなるか予知しており、何処で売買すれば最大の収益を最低のリスクで獲得できるか何のためらいも無く決める事ができるのである。

正しい転換点取引こそが最大収益を最低のリスクで得られる言わば完全取引ポイントなのだから、誰しもが転換点を極めるミッションに乗り出そうとするのは自然な事だといえる。そして万一その転換点が規則的に反復して顕れるとしたらどうだろうか?10%認識できれば既に成功への道を歩んでいると言える転換点取引。その優位性が一挙に高まることになる。
次の見慣れない奇妙なマーケットの実例をごらん頂きたい。

画像:フレンチ・フラン/ダッチ・ギルダー
(画像:フレンチ・フラン/ダッチ・ギルダー)

フレンチ・フラン/ダッチ・ギルダーの季節性反復

これはFRF/NLG、すなわちダッチ・ギルダー(当時のオランダ通貨)建てのフレンチ・フランの1986年から1991年までの長期チャート。明らかに毎年年度末から年初に掛けて季節性の底を入れていた。この様な季節性が完璧な自由投機市場に現れる事は稀で、特殊事情が有る市場か、取引量の少ない局地的市場にしか現れにくい。当時のダッチ・ギルダーはドイツ・マルクと完全連動。そしてマルクとフレンチ・フランは、EMS(=欧州通貨システム)という規制と介入で価格変動の枠組みを維持する仕組みの中でがんじがらめに縛られていた。システマチックな規制と介入と欧州のビジネス・サイクルがこの奇跡的現象に一役買っていたに違いない。

私が「トレンドは完璧な先進自由市場には発生し難い」と観察するのと同じ様に、常勝を保障してくれるような「反復性もまた先進自由市場には発見し難い」のだ。では私が得意としていたドル円ではここまでの反復性を期待することは本当に出来ないのだろうか?もしもドル円に同じ様な反復性があればどんなに有り難いだろうか?

ドル円の規則的な反復性

  1. 下図はドル円日足引値1986~1994年の折れ線グラフである。
  2. 下部の折れ線グラフが反復性を表す季節性インデックスである
  3. X軸に86から始まる目盛の位置が1986年の正月である。
  4. 季節性インデックスの底は黒丸、天井は白丸で示してある。
  5. 年末から年始に掛けて実際のチャートで何が起きたか、縦の点線と矢印で示してある。

画像:ドル円反復的季節性1994年7月作成
(画像:ドル円反復的季節性1994年7月作成)

上図を詳細に検証すれば次のことが判明する。深く理解できるまで何日間でも何ヶ月間でも読み解くと報いがあると確信する。ここから得られる知識は単純で応用が利き、しかも価格変動の基本的な仕組みの一面を巧みに把握しており、無限の展開と応用の可能性を秘めている。

1)ドル円価格変動には年間ベースで反復する季節性がある。

2)年末から年初に掛けて重大な長期周期の底か天井が出現する。周期が規則的に反復するのではない。転換点の所在が規則的に反復する。

3)87年は天井だったが、88年から92年までは大底だった。93年からは又天井だった。これを周期位相の転換として把握する。

4)周期位相の反転が起きる直前には年間波動が必然的に2波から3波に増加した。波動の奇数と偶数カウントが一度入れ替わらないと位相は反転できない。これが位相反転を予想する前兆らしい。

5)90年の底は実際のチャートでは熟練した周期分析者でないと認識できない。しかし指数は見事にこれを捕らえ視覚化している。一見真っ直ぐなトレンドの最中にも周期は内在している。ただ見え難いだけである。

6)91年の大底は大型二重底だった。周期の底の位置が、実際のチャートでは戻し高値の天井となっている。これが二重底の特異性である。これを知ると二重底に関連する周期分析の混乱を回避できる。

7)明らかに周期はかなり規則的に存在する。しかし実際の価格変動を観察しても、ノイズとゆがみとトレンドに邪魔されて見抜くことが難しい。

ドル円、その後

この特別な指数は日本金融界デビューとなった1995年ロイター特別講演会で発表した。この指数はいったいどのように計算するのだろうか?また94年以降はどうなったのだろうか。下図に現在版をエクセル図表にて示す。

1)前掲の94年版ロータス123プリントアウトと同じ様な構成となっているが、指数の計算方法を図示してある。

2)まずドル円日足の折れ線グラフに沿って100日移動平均線を50日間過去に向かってスライドさせて表示する。黄色の線である。100日は適当に決めた数であり、大幅に変化させて試す事が出来るが、大した差は出て来ない。しかし必ずその半数を過去に向かってずらす。

3)次に200日移動平均線を100日間過去に向かってスライドさせて表示する。青色の線である。200日も当時適当に選んだ数であり、重大な意味は持たない。重大なのはその半数をずらすという事に尽きる。

4)前者から後者を差し引いた差を下部に赤線で示した。これが周期性を取り出す方法である。私が30年間の試行錯誤を経て知りえた最良の方法である。

画像:ドル円季節性反復性1986~2009
(画像:ドル円季節性反復性1986~2009)

次のような事が判明する

  1. 1995年以降は徐々に実際の価格変動での周期の反復性を見分けるのが難しくなった。
  2. 同じく指数による周期の視覚化も難しくなった。2年越しのトレンド(95~96年)やボラティリティの前例を見ない急激な低下(2005~07年)などが災いした。
  3. しかしそれでも年越し時期に重要な長期周期転換が発生しやすい事を、指数は上手く捕捉している。
  4. 特に2008年以降はそれまでの超低ボラティリティから脱出し、昔のような規則的な周期性が復活したかのように見える。

この特殊な移動平均線を中央移動平均線と呼ぶ。

中央移動平均線

下図は2010年3月5日現在の最新ドル円日足チャートである。上には中央移動平均線を5種類掛けてある。下には普通の移動平均線を平常どおり掛けてある。比較してみると複数の中央移動平均線には何らかの美しい秩序が有り、市場価格変動の内部構造を直感的に教えてくれる。それは何なのだろうか?

これが次章のテーマである。感の鋭い人は既に気付き始めたかもしれない。私がこの先言いたい事は、恐らく周期性についてだけなのでは無く、市場価格変動の内部対称性を探り当てる事なのではないかと。

そこには、この章の冒頭で引用した「ワイルダーのアダムセオリー」が再登場する。次章の内容の鍵を握るこの本を次回までに読んでおかれると理解の助けになろう(邦訳:ワイルダーのアダムセオリー、パンローリング社刊)。多分あなたは困惑し、笑い転げるか、7800円と言う対価を払った自分に苛立つか、それとも何故か胸が熱くなり、涙が溢れ出るかもしれない。

画像:ドル円日足、中央移動平均線
(画像:ドル円日足、中央移動平均線)

第VI部:逆張り 第1章:天底を当てる 田中 雅 2010年3月10日