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トレーディング、Arts&Logic by 田中 雅

第VII部:システム構築と評価

第3章:時間足ヒストリカル・シミュレーション(4:鏡の国へ)

2010/11/19

Prelude:序詞

Now, if you'll only attend, Kitty, and not talk so much, I'll tell you all my ideas about Looking-glass House.
(では、子猫のキティー、ちゃんと聴いているなら、そしておしゃべりもしないなら、鏡の国についての私の考えを全部話してあげる)

市場損失と利益は対称形

私が以前読んだ市場取引の損益に関するさまざまな調査によると、市場取引を始めて1年が過ぎた方々の8~9割程度が損失になっており、残りの1~2割ほどが利益となっていると統計的に推定出来る。ネット取引による公平化の発展で、恐らく現代市場ではこれが幾分か半々に近付いているだろうとは想像できるが、いずれにしても損失を被る人の方が成功して生き残る人の数よりは多いはずだ。

では不運を被った方々には、天から全くチャンスが与えられなかったのかというと、そうではないかもしれない。もしも全てをやり直すチャンスが与えられるとすれば、やったことを全て逆に実行すればどうなっただろう?魔法のように損失の大半が利益に変わってしまうはずだ。

市場取引における損失と利益には対称形のような関係があるのではないだろうか?もしそういう対称性の構造を知ることさえできれば、もはや人生をやり直す必要はなく、事前に損失を利益に転じるような道筋を知ってからトレーディングに取り組む事が出来るはずだ。

Through the Looking-Glass: 鏡の向こう側

First, there's the room you can see through the glass - that's just the same as our drawing room, only the things go the other way.
( まず鏡ごしに見えるお部屋があるでしょ―あれはうちの書斎とまるっきり同じだけど、でもなんでも逆になっているのよ。)

トレーディングの手順を鏡に映してみると、逆になるものと逆にはならないものがある。鏡では左右と前後の向きが何もかも逆になっているが上下の位置関係は変わらない。ここ数年間この事を実戦の場で詳しく調べる機会が何度かあり、次の様な事が分かってきた。

これらの概念を実際のトレーディングにおける注文手順に翻訳していくと、次の様な反対語基本辞書が出来上がる。概念的な頭の切り替えが意外と難しく、慣れるまでに数カ月かかったが、最高に面白い作業である。

この反対語辞書を使って、例えば次の様な注文(実際に筆者の発行するテクニヘッジ・レポートで2010年11月10日に公表されたもの)を翻訳してみる。これは逆張りなので、逆張りを順張りに翻訳してみよう。

これを順張りに翻訳すると次の様になる。

この二つの注文は比較してみると一種の鏡対称形になっていることが分かる。つまり損益がプラスマイナス逆転する。仮にこのルールに従って取引をしてこれまで見事に完敗し続けているとしたら、そして、損失がロジックによるものでありコストが原因ではないとしたら、私は今日から鏡取引の翻訳辞書に従って注文を書き換えて発注することにしよう。一夜にして完全連勝の勝利者に逆転するはずである。

何度も書いたように負けるときは潔く純粋に負けた方が良い。そのほうが負けの原理を学習しやすいし、災い転じて福となすことができるのだ。曖昧に負けるのは一番生産性が悪い。偶然なのか必然なのかの判定が難しくなる。

しかし、私がそのような完敗のルールを実は知らないとすると、ではどのような道筋でそれを発見できるのだろうか?完敗のルールを事前に知りえるような手順があるのだろうか?

冒頭で述べたように市場参加者の8~9割が損失を被っているのであれば、殆どの人が既に勝利の方程式を知る為の資料を持っている可能性がある。その人自身が、あるいはその人の相場人生がその方程式であり、ただその読み方を誤ったのである。鏡に映して逆をやれば良かっただけなのだ。

20年近い教育を受け、まともな性格で真面目に生きている多くのまっとうな普通の人が、なぜ逆の選択肢を選び続けるのか?なぜそれがこの世のあり方なのか、これは実に不思議な現象だと言える。

さっそく取引日記を紐解いてみよう。シミュレーションソフトがPCの中に残した膨大な調査結果を、削除していなければ見直してみよう。答えはいつも同じ所に見つかるはずだ。自分自身の中に。

日誌も無く、取引記録も捨ててしまい、何も残っていなくても大丈夫。そういった作業を一手に引き受けて処理できるのがシミュレーションソフトである。知りうる限りのシミュレーションを実施して、負け領域の全幅探索をしてみよう。今まで顧みる事の無かったゴミ箱のデータを利用して、鏡対称の世界に飛び込むのだ。

and What Alice found there: 鏡の国のアリス

….only you know it may be quite different on beyond. Oh, Kitty! how nice it would be if we could only get through into Looking-glass House! I'm sure it's got, oh! such beautiful things in it!
(その向こうはぜんぜんちがう世界なの。ああ、子猫のキティーちゃん、もしも鏡の国のおうちの方に抜けられさえしたら!向こう側はきっと素晴らしいに違いない)。

ヒストリカルデータの書き換え

前章で扱った時間足順張りと同様に、ビッドオンリーデータが逆張りの取引ではどの様に振る舞い、収益に影響を与えるのか考えてみる。

ビッドオンリーデータは、売り注文に対してはビッドで完全な対応ができる。しかし買い注文に対しては対応できない未約定領域がある。それはビッドオンリーデータの安値から1スプレッド分の領域である。下図右向き赤色矢印の買い注文がASKに合致していない領域がこれに相当する。

画像:リミット注文約定モデル、筆者作成
(画像:リミット注文約定モデル、筆者作成)

ビッドデータとアスクデータが重複している領域では問題ない。しかしながらこの未約定領域でシステムは買いリミットが約定したと勘違いしてシグナルを点灯するが実際には約定できていない。買いを受ける事になっているアスクの呼び値がそこには到達していないからである。

したがってこの領域で成立したはずのロングポジションは実際には成立しておらず、システムは過大評価に陥る。しかもそれがどれほどの過大評価なのかは実は知りえない。全取引の内どれだけの取引がこの領域で約定したか的確に知る手段が無いからだ。よって正しいシミュレーションが出来ないし、そのための過大評価がどの程度なのかも知ることが出来ない。

通常の最適化された優良逆張り戦略は、スキャルピングのように超小幅の収益を高頻度で積み上げるという手法になりやすいので、過大評価の影響は思いのほか大きいと推察できる。これに引っかかってしまうシステム構築の例は現実に数えきれないほどある。

私がここまでの調査で知りえた唯一の解決手段は、データから未約定領域を消してシミュレーションを行う事である。この方式では、現実と同じ状況をデータ変更によって作り出すので未約定領域の問題が発生しない。後にそれを実行する際に同期の問題が浮上するのだが、とりあえずそれはさておき、現段階では正しいシミュレーションとして代替手段がなくこれが唯一の手段なので、この方式で進めていく。

次の様な仕様で逆張り用のヒストリカルデータの修正を行う。前章では1時間足を扱ったが、今回は長めの時間枠を採用し、少し鈍いシステムを意図して、スプレッドの影響を少し緩和する方向で調査を進める。3時間足が最適かどうかはまだ分からないので、調査結果次第では、観測時間枠を変更してシミュレーションをやり直すことになる。これは後にクロス探索と名付けて紹介する手法である。

調整したい任意の通貨をトレードシグナルに呼び出しそれをエクセルに向かってドラッグ&ドロップでインポートする。

ここに表記された安値を上方向に向かって1スプレッド分高く書き換える。下図黄色着色セルのLスライドにスプレッドを代入しておくと、全ての安値がその分だけ高くなるようにエクセルを作成する。つまりレンジがスプレッド分短くなるのである。逆張りではレンジが狭くなると不利である。このようにして過大評価をぴったりオフセットしてしまうわけだ。またスプレッドは公称値よりも少しだけ大きめに設定する。

始値と終値は新しい安値の外にはみ出すことがあるので、念のために新レンジ内に収まるように安値と同じ値に書き換える。また新レンジ内に収まっている始値と終値は何れもBid価格であるために場合によっては不都合が起きる。たとえば始値でエントリーするような戦略である。このような場合は戦略に応じて始値も調整する選択肢を選ぶ。たとえば始値を1/2スプレッド分上げてやるような選択である。

日中足の時間枠が短くなれば、スライドする幅の方が日中足の幅よりも大きくなって安値が高値を飛び越えてしまい高安値が逆転するような現象も発生する。理論的にはあり得ないデータなので、ここまで来るとまさしく不思議の国のパズルになってしまうが、場合によってはシステムがこれを合理的に処理できる場合があり、完全に間違いであるとも断言できない。しかし、通常このような場合はゼロレンジと見なすようにエクセルを設定して切り抜ける。

シミュレーションソフトはあまりにも異常なデータの場合はシミュレーション不可能となることがあるので、常識に沿って調整した方が無難だろう。筆者の見解では30分以下の短い分足でこのような修正を加えてシミュレーションするのは無理なのではないかと思われる。問題がありそうだと時間枠を大きめに取ることをお勧めする。

Into the Looking-Glass room: 鏡の向こう側へ

In another moment Alice was through the glass, and had jumped lightly down into the Looking-glass room.
(次の瞬間、アリスは鏡を通りぬけて、ピョンッと鏡の国の部屋に飛びおりていました。)

画像:Wikipedia Commons: Category: Through the Looking-Glass and What Alice Found There、より
(画像:Wikipedia Commons: Category: Through the Looking-Glass and What Alice Found There、より)

以上のようにして全ての通貨の3時間足逆張り専用調整済データを作成し、全幅探索に取り掛かる。全幅探索の手順に関しては既に何度か述べているので、ここでは省略しさっそくその結果を見てみよう。

ちなみに今回の全幅探索では前回順張りの全幅探索で行った主要通貨は省いた。というのも経験から逆張りの全幅探索で浮上する最有力候補通貨はクロス通貨であり、主要通貨がトップクラスにランキングされることは私の探索方式ではまず無いからだ。データがトレードシグナルを通じて取得できる全てのクロス通貨より9通貨を選び、更にドルストレートでは前回省略したNZDUSDを加え10通貨を調査した。

おこなった全てのシミュレーション結果を一つのCSV形式のファイルにまとめる。ファイルには72万のシミュレーション結果が収録されており、ファイルサイズは71メガバイトに及ぶ。このファイルを読み込むにはエクセル2007以降のバージョンと、強力なプロセッサを備えたPCが必要である。トレードシグナルもそうだが、軽々と動かすにはインテル・コアi5かi7を搭載したPCの方が安心だと思う。

Looking-Glass Insects: 鏡の国の虫たち

Of course the first thing to do was to make a grand survey of the country she was going to travel through. `It's something very like learning geography,' thought Alice, as she stood on tiptoe in hopes of being able to see a little further.
(もちろん最初にやるべきことは、これから旅する国をおおざっぱに見渡すことでした。「これって地理の勉強と良く似ているわ」とアリスは、もうちょっと遠くまで見ようとして、つま先立ちになりました。)

この72万行のシミュレーション結果を読み解くのはかなり大変な作業だ。まず最初に、全ての行を「損益」を参照行として昇順にソートする。こうすると損失最大の戦略が最上部にトップランキングされる。

とりあえず15行だけコピーしてみた。たった15行しかコピーしてないが、実は数千行張り付けたところで同じ結果である。全ては似たような戦略から成り立っており異なる戦略が出てくるのは数千行先の事だからだ。通貨名はここでは戦略の一部として扱われている。

試しに早速トップにランキングされたAKC3Nというモデルをトレードシグナルで検証してみる。もちろん使用するのはトレードシグナルのリアルタイムデータではなく、さきほど作成し100%約定可能に修正した方のデータである。このモデルを出発点にクロス探索という手法でさらに調査を推し進めるに値するかどうかを決めるのである。

すぐさま判明したのだが、このシミュレーションは失敗だった。実は時間足逆張りトレーディングの大まかな鳥瞰概念を得るために、データ取得できる全ての期間を対象に調査を行ったのだが、それが良くなかった。何を間違ったかお分かりになるだろうか?後講釈で判明したのだが、見るべきではない領域を見てしまったのだ。もちろんそれは2008年後半に発生したリーマンショックの期間である。

この期間ボラティリティは激増し、市場は100年に一度という乱高下に見舞われた。多くの順張り取引だけでなく逆張り取引も該当期間失敗する例が多数あった。この逆張りシステムは市場危機を最高の収益機会と捉え、このリーマンショックの期間において収益が最大になるように、戦略の全てを合わせてしまったのである。その為に残りの期間はフラットでも、全期間でみると収益は最大だったので、トップにランキングされたのである。最終収益で評価する手法の最大欠点がこのようにして判明する。

この様な現象は有名なブラックマンデーの大暴落に遭遇したシステム取引者にとってはお馴染みの事である。当時を千載一遇の学習機会として捉えたシステム構築者はさまざまな対策を考案した。特異な時期を「避けて」シミュレーションし、その後その特異な時期に適用して結果を見てみるという、期間穴あきシミュレーション方式がそのひとつである。

優れたシミュレーションソフトには期間穴あきシミュレーションの機能が備わっているべきであり、もし備わっていない場合は、簡単な初期設定で取引期間を調整し、このような異例の期間を取引しないシミュレーションもやってみるべきである。そうすると、平常時のトレーディングも収益性が高く、かつ100年に一度の危機も乗り越えられる戦略が見つかるかもしれない。上記の例では、100年に一度は世界一と評価される戦略だが、それ以外の99年間は平凡な横ばい収益戦略を発見したに過ぎない。

探索期間を限定したシミュレーションのやり直し

というわけで今回はデータ取得開始時期である2007年4月からではなく、リーマンショックが治まり始めた2009年4月から今日までの期間でシミュレーションし、その結果を全期間に当てはめることにより上手くいかどうかを検証する方式に切り替える。

The Lion and The Unicorn: ライオンと一角獣

The Lion and the Unicorn were fighting for the crown:
(ライオンと一角獣が、勝利の王冠をめぐって戦っていました)

決勝戦の結果だが、前回の全期間シミュレーションとさほど変わらない結果が得られた。強いて言うとレンジ認識のパラメータが少しだけ広くなったと言える。一部のコラムタイトルは日本語に訳しておいた。後に出てくる表は英語表記のままだが、この表の構造と同じなので参照していただきたい。

ファイルネーム、N、K1が戦略判別情報。取引回数は多いほど信頼性が高い。負の領域極限を探しているので勝率は小さいほど良い。損失額、ドローダウン、収益リスク率も、1往復取引回あたりの損益もマイナス額が大きいほど良い。順張りでは両打ち率が高いと収益過大評価の大問題が発生するが、逆張りでは両打ち率は高いほど利益確定率が高いので良い。(但し両打ちで手仕舞いする方式の場合であり、両打ち後にポジションを保持する方式ではこの逆となる)

この戦略は数千行下まで辿っても似たようなAK戦略が並んでいるだけで、新たな情報を得るのに手間がかかりすぎる。膨大な情報を扱う全幅探索を扱うのは容易ではない。良いものが1か所に集中していると、たとえそれが何千という情報でも、結局は一つの情報を得たのと同じ事にしかならない。

ここで方針を変え、72万行のランキングをたどって他の通貨ではどのような戦略がトップクラスに出ているかを比較検討してみる。表を下にたどっていくと4千行ほど下った辺りにANMFNという戦略が出てくる。これが最初の他通貨戦略である、これを個別に調べてみよう。

この通貨の場合個別ファイルには全てのシミュレーションパラメータの調査結果が3万1千ほど入っているのだが、収益の低いものから順に左から右に並べて、収益をグラフにして表記すると下図のようになる。これによると損益表に収められた全戦略での全パラメータ中8割は損失なので、順張りではなく逆張りに向いた通貨であることが良く分かる。この分析手法は繰り返し紹介してきた筆者考案の「通貨プロファイル」の評価手法と良く似ている。

クロス通貨の多くは順張りよりも逆張りに向いているか、もしくは両方こなせるかのどちらかであることが多い。いずれにせよ、一般的にドルストレート通貨よりは逆張りに適していると言える。

上図右端の部分に少数だが大規模な収益を計上したかに見える戦略が密集しているのに注目しよう。これが前章で注意を促した両打ちによる勘違い収益の部分で、巨大な騙し収益の領域である。ここは実際にその取引手法で取引すると、収益では無く、ほぼ同額の損失になる領域である。

両打ちが原因で発生する順張りの見せかけ収益については前章で警告した。逆にこの部分を鏡の理論で見直して再開拓すると面白い逆張りのロジックが浮上してくることも分かってきた。実際のところ収益というものがどこに潜んでいるのかは、一度鏡の世界か不思議の国に迷い込んで、全ての常識をリセットしてしまわないことには良く分からない事が多い。

このようにしてさまざまな角度から評価しうる戦略を一つ二つ見付ける毎に表に書き込む。12戦略ほど出そろったところでストップし、表を仕上げた。それが下記の表である。この中には標準的なクロス通貨がほぼ全て出そろっている。

トップに出てくるものが即最良の戦略である事は殆ど無いのでこの表を詮索しても余り意味は無い。これを手掛かりに次にどのような戦略を最初に調査すればよいのかを考える出発点にするわけである。興味深いセルには緑色で注意を促す。ピンク色は逆張りの評価としては良くないセルである。

この表には多数の通貨が混在しているが、損失は全てピップ(ティック)表示なので実際の価値は全てを円換算でもして比較しないと、期待収益を横並びで比較するのは難しい。

その上全てを円換算で評価しても横並びで比較するのは簡単ではない。例えばポンド円は執筆時132円程度だがニュージランドドル円は64円である。という事はポンドの1通貨あたりの市場価値はニュージランドの二倍もあり、1%の変動率で得られる損益もやはり2倍になる。

リスクも期待損益も大きいのだから、1通貨あたりのピップ損益が同じである場合に、それを全く同じと評価するには無理がある。この表から実戦用の戦略が直ちに見つかることは殆ど無いと言ってよい。

そのことを踏まえてクロス探索という方法で、もっとも興味深い汎用性のある戦略を探しだしていく。手っ取り早い汎用性は次の手順で発見できる。このようにしないとピップ損益の絶対ランキングだけでは最良の戦略に辿りつかないことが多い。戦略のだましというものが逆張りでも無数にあるのだ。

  1. 表の中に似たような戦略を幾つか見つけることが出来る。これらが逆張りの標準的基本戦略である事が多い。そこで基本戦略らしきものに目を付け、なぜそれが最高級のピップ損益を稼ぎ出しているのか、そのロジックを考えてみる。そうすると逆張りの基本的アプローチを認識することが出来る。
  2. 良さそうな戦略を発見すると、他の時間足にデータを入れ替えてみる。例えば3時間足を1時間足に変換してシミュレーションをやり直す。このデータはビッド未約定領域修正済みのデータでなければならない。時間枠を超えて戦略をクロスしていくのである。
  3. 他の時間枠でも有効な場合には、似たような他通貨でも同じように有効であることが期待できる。類似の他通貨に同じ戦略をクロスしていく。

このクロス探索のイメージは都市の主要交差点と良く似ている。目的地に辿り着くのに一本道を真っすぐと探すのではなく、交差点を曲がって他の道も探索して良さそうな目的地を探し当てるわけだ。かなりの忍耐力と手間暇をかけて探すのだが、運が良いとこれならいけそうかという戦略が一つか二つ見つかるかもしれない。

このような戦略は私の体験ではだれにも知られておらず、またなぜ勝てるのかも暫く理解できないような奇妙な戦略であることが多い。
このような手順で最初に発見したのは次の様な戦略だった。

これは3時間足を使用した豪ドルカナダの戦略である。8ピップの公称スプレッドを織り込み済みの未約定領域調整済のデータを使用して探索した。一日に1度くらいしか取引しないのが欠点で、せっかくの日中足取引のメリットを十分に活用しきれていない。上図のシミュレーションでは修正済みのデータを使用してあるのでパーフォーマンスの方も手動でこの通りに発注すれば本当にこうなっただろうと想像できるものである。

It’s my own Invention: わたしならではの発明

`You see,' he went on after a pause, `it's as well to be provided for EVERYTHING. That's the reason the horse has all those anklets round his feet.' `It's an invention of my own,' the Knight replied.
「つまり、あらゆる事態にそなえておくのがだいじなわけ。だからこの馬は、足のまわりにあんなに金具をつけているのだよ」「わたしならではの発明だよ。」騎士(ナイト)は答えました。

ちなみに私が提案している「ビッドデータ未約定領域修正済みのシミュレーション」では、スプレッドの収益負荷をデータその物から差し引いて実行しているので、スプレッドを無視するビッドオンリーデータによる過大評価は正確にオフセットされており、織り込み済みである。実際のマーケットでこの通りに手動で注文を出せば、理論的にはこのシミュレーション結果と全く同じタイミングと価格で約定したという事である。

スリッページの心配もない。なぜなら逆張り注文で使われるリミット注文はスリッページ無しで約定するからである。

問題はリアルタイムでビッドとアスクの両方を正しく認識し、それに基づいて正確な取引ロジックでリアルワールドをリアルタイムで管理執行するようなトレーディングソフトがまだ存在していないために、これを自動執行で実現するには大変に複雑で難しい戦略プログラミングを書かねばならない事である。

手動で全ての注文を発注する普通のシステムトレーディングであれば実行が可能である。しかしシストレが目指す究極の形態は日中足の24時間自動執行であると考えているので、これが実行できるような汎用プラットフォームを誰かが完成させることを期待する。これは私自身の課題でもあるが、同時にシストレソフト構築業界の課題とも言える。

最もスプレッドが広い豪ドルNZDのシストレ口座スプレッドは13ピップである。同通貨の1時間足の平均レンジは21ピップしかない。このレンジの半分以上がスプレッドで吹き飛んでしまうと言うのに、それを全く認識しないし、認識させる機能も付いていないのは、残念としか言いようがない。

ちなみにスプレッド入力による経理処理でこれを解決することは出来ない。この方式では収益の多大な過小評価となってしまい、しばしばこれを勘違いして有益な戦略を放棄してしまう結果となる。しかもどれほどの過小評価なのか、スプレッド入力方式では推量ができない。

Queen Alice: 女王様アリス

It was a golden crown. `Well, this IS grand!' said Alice. `I never expected I should be a Queen so soon.
それは黄金の王冠でした。「まあ、これはたしかに豪勢だわ!」とアリス。「こんなにすぐに女王さまになれるとは思わなかった。」

私が現在取り組んでいる最良のモデルは日中足逆張り取引の理想的なアプローチを取っていると思える。殆ど全ての1時間足で行動しており、微細な平均収益を可能な限り最高頻度の取引回数で累積しようと試みる。下図をご覧いただきたい。図の上半分がビッド未約定領域を修正したデータを使用した場合。下半分は通常のリアルタイム・ビッドオンリーデータで実際に取引をしている最中の画面である。上のデータが公称スプレッド分狭くなっている。その分不利なわけだが取引タイミングはかなり同期できている。

この戦略の良いところは、同じ通貨なら多様な時間枠全てでパラメータを一切変えることなくワークすることである。パラメータを変えずに日中足の殆どの時間枠だけでなく日足にも適用できる事を確かめた。これは前述の時間枠のクロス探索で確かめた。また似たような通貨なら他通貨に適用しても同じ様に有効である。これは前述の通貨間クロス探索によって確かめた。

しかし問題が無いわけではない。流動性に関してはシミュレーションのしようが無いので実際にリアルマネーで運転してみるまでは不可知のリスクが隠されているかもしれない。

手動取引ではなく自動執行(自動売買)にかけて、もしも同期を失った際にどう調整するかは、まだ完璧と言えるような解決方法を見出していない。 したがって私はいま暫く鏡の国に踏み止まり、何かその解決方法が見つからないかと探しまわる運命にあるようだ。

画像:シストレ戦略アリス1号、上図半分ビッド修正済みデータ、下図トレードシグナル・リアルタイムデータ
(画像:シストレ戦略アリス1号、上図半分ビッド修正済みデータ、下図トレードシグナル・リアルタイムデータ)

Which Dreamed It?:夢を見たのはどっち?

`You woke me out of oh! such a nice dream! And you've been along with me, Kitty ― all through the Looking-Glass world. Did you know it, dear?'
「もう、私を起こしてしまうなんて!それは素敵な夢を見ていたのに。でも、おまえもいっしょだったわよね、子猫のキティーちゃん。鏡の国の世界中でずっと。知ってた?」

In a Wonderland they lie,
Dreaming as the days go by,
Dreaming as the summers die:

不思議の国に横たわる
夢見れば日々は過ぎぬ
夢のごとく夏は過ぎぬ

(本号に掲載された英国の数学者・作家ルイス・キャロル著「鏡の国のアリス」の英語章題、英語本文および原書挿絵は全てパブリック・ドメインです。主としてWikipediaからコピーされています。英文の邦訳は本稿の筆者田中に依るものです。)

第Ⅶ部:システム構築と評価 第3章:ヒストリカル・シミュレーション(鏡の国へ)、田中 雅 2010年11月19日